試行錯誤のことを英語でtrial and error(トライアル・アンド・エラー)といいます。
try and error(トライ・アンド・エラー)ではありません。
try and errorのように、動詞と名詞が対なのはアンバランスで、文法的に正しくありません。
trial and errorのように、名詞どうしを対にするのが相応しい表現です。
「試行錯誤」は、調べてみたら故事成語ではないのですね。
孔子か孟子の儒教の格言とばかり思っていました。
何かを試みるとき、失敗を極端に恐れる人がいます。
失敗を何とも思わないと改善する努力をしないので、失敗を恐れること自体はおかしなことではありませんが、度が過ぎると問題です。
失敗したら嫌になってしまってそれ以上やらない、二度と手を付けない、そんな人が意外に多くて残念です。
イヤな思いをすること、イコール、ストレスなので、同じ失敗を恐れて及び腰になるのは正直分からないでもないですが、そのストレスへの感受性が強すぎるのか、ストレスに弱いのか。
命にかかわるとか、人に迷惑をかけるような失敗は許されないので、最大限の緊張感を持って臨まなければなりません。
でも、そうでもないことに関しては、失敗したって、いいじゃない?
失敗するから記憶に残るのだし、次は失敗しないように工夫するのですから。
それが頭を使うということです。
感情が揺さぶられると、記憶に残りやすいのだそうです。
こんなことは教える立場としてあまり言いたくないですが、説明を求められたのに応えられなかったり、間違った説明をした経験が何度もあります。
それらの問題と解法が全て頭にこびりついていて、20年も30年も頭から離れません。
応えられなかったとき、その緊張と恥ずかしさ、2つの感情のせいで、今も頭から離れないのだと思います。
間違った説明をしたその夜、睡眠中に気が付いて飛び起きたことが何度かあります。
そして次回平謝りで改めて説明し直す、そんな恥ずかしい経験は忘れようがありません。
(間違った説明をするなんて準備不足なのですが、個別指導塾や家庭教師では解答解説のない問題の質問に即興で答える場面が多く、準備不足が前面に出ます。特に高校数学の応用問題は長い物語なので、道を間違えたことに気付かず進んでしまうという失敗があります。という言い訳でした。)
失敗して嫌な思いをする、これは喜怒哀楽でいうと、怒と哀。
そういう感情の揺さぶりが起きているのですから、記憶に残りやすい瞬間なのではないでしょうか。
その瞬間を生かさない手はありません。
次はうまくやろうと再び取り組めば頭の栄養になりますが、それっきりそっぽを向いてしまえば、それまでにかけた時間が無駄になってしまいます。
反復すればこれもまた記憶に残りやすいですから、失敗して次をやらないのは、
①感情が揺さぶられて記憶しやすいときに
②反復しないのですから、
二重に不利です。
試行錯誤は勉強の核心です。
間違えたときこそ、理解し、記憶するのです。
失敗は成功のもと、と一言で言えば済むことを長々とねー
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